∵▲∵▲ 4. ▲∵▲∵▲栗本丹洲

田村派本草学者の総帥で
江戸における代表的な博物学
として著名な「田村藍水」の次男;
栗本丹洲(1756-1834、本名=昌臧〔まさよし〕)
の、虫類の図譜;『千蟲譜』には、
益虫=ミツバチ、カイコ、
害虫=ハエ、カ、ノミ、ダニ、ゴキブリ、ウンカ、〜
薬用種=マメハンミョウ、孫太郎虫、
有毒種=カメムシ
動物の糞や死骸につくセンチコガネやシデムシ
昆虫以外の節足動物=クモ、ダニ、カニ、ムカデ、
無脊椎動物=クラゲ、ミミズ、ゴカイ、カイ、タコ、
.     ナメクジ、ヒトデ、ナマコ、
小型の脊椎動物タツノオトシゴ、カエル、
.     サンショウウオ、ヘビ、トカゲ、コウモリ、
昆虫寄生菌類=冬虫夏草
まで収めた18年にも及ぶ力作だが、
その一番の眼目は何といっても、
その図鑑は必ず“虫に喰われるよう”
米の砥ぎ汁で製紙されており、
――綴じるのにも勿論、米糊が――
ために“完本は残って存ない”。
昆虫図鑑冥利に尽きるといふものである。
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