味覚

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味覚
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甘い、苦み、鹹(塩辛)い、酸っぱい。
これが味覚と定義されている。

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美味の「旨い」と「甘い」はもと同義であり、
方言と考えてもよい。

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無理もない。
甘味とは貴重な滋養分であった。
故に、身分の高い者しか口にできず、
各宿場ではエネルギーの補給に必ず
安倍川餅」だの「赤福」だの甘味が用意された。

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怒ってる人は生存の危機を連想するモードにあるため、
チャコレートや飴玉など甘味を取らせると
概して鎮まるという説がある。
現代では苛々を鎮めるには先づカルシウムだが。
一挙両得のシュークリームやアイスなんて
いいかもしれない。特にアイスは「ほら溶けちゃうから」
と不自然さなく即時に薦められるし、
頭部を冷却するので何重にもよいかもしれない。

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池田菊苗によってグルタミン酸が発見されて以来、
旨み成分も数多く発見されており、
イノシン酸と一緒に摂れば相乗効果で旨みが7倍に
上ったりする。
が、そうかといって、あれもこれもランダムに加えれば
我々の知覚域をこえ、旨みは苦味に転ずるという。
だから料亭の味を出したければ、そこそこに薄味を
心がけねばならぬ。

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もともと味覚機能は、毒を門口で知り、嚥下させないためて、
本当に必要な栄養素――中ん就くその個体がその時点で
必要とする栄養素――を知覚し、積極的に摂取するために
備わった。

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以前、沖縄の舞踊家と同席した際、
彼は何度も何度も乾杯しながら、
沖縄の古老たちはまだ自然に感性だけで
医食同源を実践していると教えてくれた。

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だが、幼児たちは天然かというと、
悲しいかな、そうじゃない。
彼らは体にいい筈の人参やピーマンを嫌う。
彼らが過保護に育てられていけば、
添加物だらけの毒の塊でしかない、スナックや菓子、
ファーストフードで育っていくし、
事実、味覚センサーたる「味蕾」が形成されない。

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最初に見た動く物を親だと思ってしまうアヒルと同様、
彼らにはPCが故郷なのである。
有機の知性を考慮すれば、
モノ化していく“機械的な”心は低劣である。
「サルにも劣る」。

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人間だけである、食品に熱を加え、風味をつけるのは。
あらゆる自然動物はそんなことをしない。
だから細胞の分裂回数が全うされる。
もしかすると、こんなところに原因があるのかも知れない。
いや、東洋医学では太古よりそう説いている。
ホワイトヘッドもソローも、ルソーさえ、
本来の東洋は必要としない(成熟した文化世界である)。


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先づはナマのモノを、味をつけずに食べなければ、
真の生体の感性は養われまい。
死んでいない細胞たち。
の、もたらす“新鮮さ”――豊穣さ――という情報。
は、生体的健全を敷衍強化する以外ないのである。
この代償として、まづ何らかの寄生虫・ウイルスに冒される。
何十年もの潜伏期間を経て、腎障害などで
破綻する。
だが、焦げたものはガンを誘発するのである。
霊妙洒脱なナチュラリズムの勝ちだろう。