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アガスティア
ヒンドゥーの聖仙〔リシ;利子ではない!〕の名前。ヴィンディヤー山を越えて南インドバラモン文化をもたらした『リグヴェーダ』や『ラーマーヤナ』などヴェーダ期(;日本でいえば記紀神話時代)の偉人。◆当時このデカン高原の辺りは、江戸期における蝦夷地のように、未開な不明な世界だった。『マヌの法典』ではヴィンディヤー山脈とヒマラヤ山脈の間;「アーリヤ・ヴァルタ」にバラモンは住むべし、と、説かれている。先住民族ドラヴィダ人たちに、先進文明のアーリヤ文化をもたらしたのがアガスティアなのだ。◆青山圭秀によって話題沸騰となった「アガスティアの葉」とは、そのアガスティアが椰子の葉に、訪ね来る各人の運命を5000年も前に記したもの。その「チャンドラクンダリー」には人物の名、現在・過去・未来・前世・来世が詳しく書かれている。つまり「全ての解答」が。◆さらに興味深いのは、まるで空海かのように、今でもアガスティアは生きていて、修行者たちの霊的な指導を行っているという話。ただしこの話は実際は、ちょうどサイババの場合のように、何代も何代も連綿と受け継がれてきた「号」とか「位」・「ステータス」なのかも知れない。◆話題になって以来、インドを訪ねる人が後を立たないが、多くは贋物の「アガスティアの館」で眉唾物のニセ占い師にいいようにあしらわれて帰ってくる。第一、古代タミール語で書かれた筈のそれが現代タミール語で記されていたり、前後2日の天球図が出てきたりする。これを読む人を「バンディッド」というが、その背後に整理されたアガスティアの葉は丸で漢方薬局のように有限であり、量も知れている。とても、人類全員の分はないし、長い歴史のトータル人数から考えても量が合わない。だからアバウトなものだし、占星術など他の占いによってそこそこの納得をさせるものであり、恐山のイタコと似たり寄ったりである。
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