∵∴■ 39 ■∵∴■∵∴■巽孝之/小谷真理-変換

小谷真理は同じこの文集の中で
『瞳の裏の宮殿』
を物している。
ポール・パークの
『ウァスカル・カーパークの失われた聖墓』
のイメージ再認である。
松岡正剛も試みた、
フランシル・イエイツの
記憶術を必死こいて行う
少年の話で、
その少年が何で
記憶術を必死こいて行う
のか?といえば、
彼はまもなく失明するから
である。
刺激物のフェティッシュ
を方々に置いて、
失明した後も
何不自由なく
過ごせるべく、
苦心した話だ。
所が万事ととのい、
安心した父親が亡くなった途端、
少年は視力を取り戻す。
ネクロフィリックな
ド近代のSF作家たちが好んだ
逆説スタイルだが、
んなもんは疾っくに廃墟だ
という論理。
『昴』の「♪目を閉じて何も見えず〜」
印象〈;そして独覚〉の向こう側に
犇く〔ひしめく〕客体たち。
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