★(3).不安を愉しむ妙な心;大口あいたヘビの前のカエル★☆★☆★☆★☆

オランダのリッペルスハイの眼鏡屋で
偶然に発見された、凸レンズ2枚による
望遠効果を享けて、ガリレオスピノザ
レンズを磨きに磨いて、何十枚もの試行錯誤を経、
「眼の延長」は30倍にも50倍にも育成された。
但し精度が上がれば上がるだけ、
対象の光はクリアに見えるわけではなく、
介在物;空気があるためにふるふる揺れて
ぼやける――「シーイング」や「シンチレーション」――。
(;→やったことのある人はすぐさま思い出される筈だ。
. 最初は自分の血脈などの揺れではないかと
. イラつき、最後には眼と望遠鏡、そして星とが
. “一体”のものになる妙な感覚に陥る筈である。)
そしてそこに此岸の存在の儚さが投影され、
足元のさらわれた如き宇宙の中での
孤立感に耽ったのである。
タナトス側の、
テクニカルなナチュラル・トリップ
といえる。
.