2004-11-15 ■■=== 6 ===■■「垂らし込み」の「幹」 そして梅の木の部分の写実性も、 「墨」で描かれたのではなく、 錆びた銅;緑青〔ロクショウ〕を焼いて灰色や黒に変色させ、 たっぷりの水でこれを溶き、その乾いていく過程で、 ムラが増幅される偶然性でリアリティを生むのだ。 しかもこの「垂らし込み」という技法は、 金箔の上に描けば水分の吸収が悪く、 乾く前に絵具が混じり合い、 ムラやニジミが出来にくい。 これも金泥の上にであればこそ出る、 得もいわれぬ妙味なのだ。 〈これも東京芸術大学の宮廻正明が比較実験を試みた。〉 .